【Cool-B VOL.49&不明 SS没ネタ】

Cool-Bさん用に途中まで書いてうまく進まず没にしたSSです。
途中で終っています。
神波と瞠と槙原。&辻村と白峰


続きからどうぞ


-------------------------------------------------(その1) 

DVD鑑賞をするときのおやつは、ポップコーンだとそれっぽい。
 以前に信者さんから貰った、袋入りのポップコーンの元があって良かった。フライパンで炒れば簡単にできあがる。
 山盛りになったポップコーンに満足しながら、俺は菓子鉢にうつした。弾けそこなった固い豆もいくらかあるけれど、まあ許せる範囲内だ。
「どんな映画なんスか?」
「吸血鬼ものだって」
 出来立てのポップコーンをつまみながら、リビングで瞠くんと槙原先生が本編前の予告を見ている。キッチンにいる俺の元にも、DVDの音声だけは聞こえてきた。衝突音。若い女性の悲鳴。迫りくる音楽。
 これから、彼らは映画を見るらしい。
 俺が住む牧師舎に、2人が訪れてきたのは唐突だった。観たいDVDがあるからと、こちらの都合もおかまいなしにだ。
(ちゃんと前もって言っておいてくれれば)
 と俺は考える。言っておいてくれれば、水出しコーヒーだって飲みきらなかったし、リビングに掃除機だってかけておいたのに。
 きっと食事をしていくんだろうから、料理だって瞠くんの好きなものを仕込んでおけた。槙原先生はビールを持参したけれど、ウィスキーを飲み始めたら、今ある氷じゃ足りないかもしれない。
 キッチンで煙草をくわえながら、コーヒーが落ちるのを待つ。本当に迷惑なんだから、とため息をつきながら、しかめっ面はうまくできなかった。
「もう始まった?」
「まだだよ」
 コーヒーカップを受け取りながら、瞠くんが腰をずらす。促されるようにして彼の隣に座った。
「なんでわざわざ、ここで観るんだよ。面白いの?」
「面白いかは観なきゃわかんねえだろ」
 テレビ画面を観続けている、瞠くんの声が柔らかい。横顔を盗み見ながら、俺はカップを口元に運んだ。
「神波さんに似てる人が出てるんですよ」
 ポップコーンを手のひらにすくって、槙原先生は頬張った。欲張るから、ぼろぼろと手からこぼれ落ちていく。俺が文句を言う前に、瞠くんが拾って食べた。
 大きな瞳が、やっと俺を振り返る。
「なんか仕事あるの?」
「ないけど」
 俺は嘘を吐いた。明日の礼拝の原稿がまだ出来ていない。
「じゃあ一緒に観ようよ。そのつもりで来たんだからさ」
 ぽんと瞠くんが俺の膝を叩く。久しぶりの親しい仕草に、深海に沈んでいた心が軽くなる。
 なんのつもりだろう。義務のように怪しみながら、俺はもう一度心の中で唱えた。
(前もって言ってくれれば)
 君の機嫌がいいことや、君が昔みたいに笑う日だということを、前もって言ってくれれば。
 玄関の扉を開けた瞬間に、眉間に皺を作ったりしなかった。
 一度取ったポーズを崩すことは難しい。俺は不満げに膝を組んでソファに背もたれる。
 狭いソファで腕が触れ合うと、瞠くんから緊張が伝わった。
 そして俺は理解する。今日はたまたま機嫌のいい日ではなくて、彼が何日も前から勇気を出して、準備していた日なのかもしれない。
 なんでもない休日を過ごすために、


[未完]
-------------------------------------------------(その2)

駆け引きをしている。
 商談を有利に持ち込むように、主導権を握らせず、弱味は見せない。戦場でも市場でも手の内を読まれた方が負けだ。
 やわらかな檻のような、校舎でも同じこと。
 ――先日のことは、彼が口に出すまで、自分からは言わない。
「おそらく、負けるのはおまえだ」
 手元のカードから視線を上げ、辻村が傲然と微笑した。ひやりとしながら、笑みを崩さずに白峰は首を傾げる。
「通じないよ。作家先生お得意の揺さぶりは」
 教室の窓の向こうからは雨音が続いていた。学生たちの雨の日の暇潰しはトランプと決まっている。珍しいのはカードではなく、辻村と白峰が共にいることだ。
 彼らの不仲は校内でも有名だった。傲岸不遜で横暴な辻村と、知的で大人びた白峰は、ともに自尊心の高い口巧者だ。ジャズのようななめらかさで、舌戦は止まない雨のように続く。
「当ててやろうか」
「カードの中味を? 戦略を?」
「おまえのことを」
 白峰は指を止めた。
チョコレートの金貨を前に押し出して、辻村が賭け値をつりあげる。フルハウスより、フォーカードよりも、手強い笑みがそこにある。
「俺のことを知ってるの」
「おまえよりは」
「嘘ばかり……。君は俺にそこまで関心はないでしょう」
 嘆息をしながら、白峰は熱心に表情を探った。見慣れた嘲笑を浮かべながら、辻村もきっと真剣に自分を観察している。
「春人という名前のくせに9月生まれ。生誕劇の聖母役に選ばれた。それが目下のところの一番の不満だ。聖母役には亡霊が付きまとう――あの七不思議のせいで」
「誰でも知ってることだ」
 もったいぶった台詞に白峰は笑い出した。だが、続いた台詞に頬を強張らせる。
「おまえは清史郎より犬を取る」
 犬とは彼らが監禁している男性のことだ。死んだ友人である御影清史郎の兄。26歳の雑誌記者。
 津久居賢太郎を首輪で繋いで飼っている。
 虜囚である彼に対して白峰は同情的だった。


[未完]
初回のCool-Bさん用だったのかもしれない……
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