【6月4日発売、Cool-B VOL.56 掲載情報と没SS】
4日発売のCool-Bさん、今回もお邪魔しております。編集部さんのコメントに勝手に愛を感じて嬉しくなっておりました。
いつも通りな感じです。よろしくお願い致します。

今回も没が出ましたので、日記の最後に折り畳んでおきます。
お時間のある時にお楽しみ頂ければ幸いです。


【ラバスト、主人公セット作りました】
賢太郎と槙原をバラでお求め頂くと宅急便扱いになってしまうので、
2個セットを作りました。

https://tarhs.booth.pm/items/22081

2個以上欲しいよって場合や、他のものと一緒にお求め頂くときは、
バラの方をカートに入れて頂けると助かります。
セットは残部少で補充するとしても月末になりますのでそこだけお気をつけ下さい。

SS本は現在在庫切れでして、夏コミ合わせで再版予定です。
書店委託、イベント販売分はまだありますので、
よろしくお願い致します。


【図書室のネヴァジスタ版深夜の真剣お絵描き60分一本勝負 まとめ】
Twitterでの企画に、ドラマCDのカウントダウンをかねて描いたものをまとめました。
お時間のある時によろしければ。
主催者様、参加者さま、楽しい企画をありがとうございました。
脇役の人たちをしっかりカラーで!って機会があまりなかったので凄く楽しかったです。
リベンジしたい絵が半分くらいあるけど…
また不定期で開催されるそうなので、仕事のない時に描けたらと思います。




【余談。短編集 第二巻についてアレコレ】
春くらいのニコ生で「SS集の2冊目作りたいなー」と言ってた気がするのですが、
時期をずっと見計らっていて、なかなか手がつきませんですみません。
Cool-Bさんに載せて頂いているのをまとめるのがメインになりそうですが、
ひとつひとつが案外短編集の書き下しの1編分くらいしかないので、
ページも全然足りてないのと、
まとめたあとに1本載って「今月号までで…」と言われた時とかに無惨だな…と思いまして、
おそらく「今月号までで…」と言われた後にまとめることになりそうですので、
気になるキャラのときは恐れ入りますが今まで通り雑誌をお手に取って頂けたら、
と思います。
長い間載せて頂いて、本当にありがたいなと思っております…。
他にはサイトに載ってますが、一周年記念の掌編たちとか、カマキリロシアンルーレットとか、
図書室のインフルエンザは小説調だったのであの辺とか、そんな予定ではおります。

そうだあと、メールと拍手でご質問頂くのですが、
オンライン・オフライン共に、過去の発行物の再配布や再発行は基本的に行わず、
その分新しいものを制作したいというスタンスで活動しています。
持ってる方にちらっと見せて頂くとか、そういうのは大丈夫ですし、
ご希望頂くのは大変嬉しく思っておりますが、
何卒ご理解頂ければ幸いです。
感謝です。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
結婚式が終わった後、二次会が始まるまで、ホテルの喫茶店で時間を潰すことになった。
 式は素晴らしいものだった。美しい新婦と品のいい新郎。祝福に満ちた空気。問題があるとすれば、結婚式の牧師が俺で、新婦が昔関係のあった女ということくらいだ。
 新婦――和泉花は結婚した。
 ひとつ運命が間違えば、俺の妻になっていたかもしれない人だ。知的な美貌と裏腹に愚鈍で、あつかましく、無遠慮な女だったが、素直で明るい娘だった。
 俺が彼女の結婚式の牧師を務めたことについて、年下の教師の槙原は同情していた。結婚式と披露宴の間に会った時、彼は涙ながらに俺を賞賛した。
「神波さんはよく頑張りました。僕なら無理です。ゆっこの結婚式の牧師役を頼まれたら、指輪交換のくだりで舌を噛みます」
「神聖な式の手順をくだりとか言わないで」
「ただでさえひどい人生なのに、まさか、こんなひどいイベントまで神波さんに振りかかるなんて……」
「うるさいよ」
 同情してくれているらしいが、一言多い。閉口しながらも、嫌な気分ではなかった。事情を知る人間たちに、遠目で反応を伺われるよりはよっぽどいい。
 眼鏡のレンズの下、目頭にハンカチを押し当てる槙原を見下ろして、前々から感じていたことが頭に浮かび上がる。
(似てるよな)
 槙原は和泉花に良く似ていた。
 和泉花の方が圧倒的に美しく、槙原の方が気持ち常識的ではあるけれど、どことなく同じ人種の匂いがした。
(皆、気づいてるんだろうか)
 喫茶店でコーヒーを飲みながら、ぼんやり考える。俺はこの説を頭で議論しまとめることにした。花との思い出はどうしたって浮かんでしまう。感傷的になれば無粋な観客を喜ばせるだけだ。ならば、理性を磁石にして思考したかった。
「誠二、呪いの儀式を教えて」
 早速、邪魔された。
 和泉花と親しかった弟――和泉咲が俺の腰にしがみつく。涙に濡れた大きな瞳は、はじめこそ感動や寂しさを浮かべていたが、今や怨嗟の塊だった。
 元はと言えば、こいつのせいだ。二次会に参加するつもりはなかったのに、しがみついて離れなかった。
「今夜石野眞が不能になる呪いを教えて」
「止めなさい」
 品のない発言をたしなめながら、俺も内心で、どうせ初夜じゃないだろうと毒づいた。
 ぼろぼろと涙をこぼしながら、和泉咲が俺の腹を濡らす。明日、クリーニングに出す。自分に言い聞かせながら、俺は適当に和泉咲の頭を撫でた。
 和泉咲を挟んで反対側にいる槙原が、彼の背を撫でて苦笑する。
「和泉君、神波さん残ってくれて良かったね」
 ここには五人の学生と槙原と賢太郎と俺がいた。賢太郎は新郎の友人のはずだが、煙草をくわえて、携帯電話を覗いたまま、子供たちの面倒を見ようともしない。
 子供たちは初めて披露宴に参席した者も多く、その話題で盛り上がっていた。
「和泉のお姉さん、きれいだったね」
「石野もまともな男に見えた」
「俺、違うフォークで、ステーキ食べちゃった……」
 かしこまった場所での待ち時間は、子供たちには退屈だったのだろう。話題はあちこちに転じて、盛り上がりを見せた。声が大きくなるたびに、俺はやんわりと注意した。槙原はこういう時、教師のくせに一番大きな声で一緒に笑っている。
 槙原が御影清史郎に似ているという話になった。
 御影清史郎はここにはいない学生で、賢太郎の弟だ。誰とでも友人になる、純真で元気な少年だったが、非常識さでは群を抜いていた。
「おまえもそう思っただろ」
 同意を求められて、賢太郎が携帯から目を離した。眉を寄せながら、首を傾げる。
「多少……。厳密には違う」
「まあ、わかるけど」
「どんなところが似てると思ったの?」
 槙原は笑いながら、興味を示した。
「雰囲気かなあ。清史郎もいつもにこにこしてたし」
 白峰春人の意見に、俺の隣にいる瞠くんが、オレンジジュースのストローから口を離した。
「親しげな空気が似てる気がしたんだ。中味は全然違うよ」
「その話聞いてたからさ。前に津久居君を慰めようと思って、お兄ちゃんって呼んだんだ」
 槙原の発言に、辻村煉慈が驚いて、賢太郎を振り返る。
「おまえはどうした?」
「気色悪かった」
 賢太郎の渋面に、また笑い声が上がった。
 会話の流れを受けて、俺は自分の仮説を口にしてみる。
「槙原先生って、和泉さんに似てない?」
 皆の動きが止まった。
 足を組み替えて、賢太郎が叱る口調になる。
「いくらなんでも、石野に失礼だろう」
「待って。津久居君、どういう意味?」
 俺のスーツを汚し続けていた咲が、ゆらりと顔を上げた。
 真っ赤な瞳で責めるように尋ねてくる。
「どこが?」
「どこがってないけど……」
 俺は横目で槙原の顔を観察した。うんうん、わかる。皆にそう言われると思っていたので、狼狽する。
 当の槙原もあまり嬉しくなさそうだった。
「花ちゃんよりはさすがに……。常識をわきまえてるつもりなんですけど……」
「そんなことないって。土足で人の家に上がってくる感じがそっくりだって」
 槙原に自信をつけさせるために俺は断言した。反対側からは、瞠くんがじろりと俺を睨んでいる。
「マッキーをあんなズ……やんちゃな女と一緒にすんなよ。全然違うよ」
「君、今なんて言おうとした?」
「わっ……。やんちゃ、やんちゃって」
「汚い言葉ばかり覚えて」
 ため息混じりに、頬をつねった指を離す。赤面した瞠くんを視界の端に認めて我に返った。そうだった。もうそんな仲ではなかった。
(参ったな……)
 饒舌になっているし、酔っているのかもしれない。
 目を伏せて、煙草に火をつける。純白のドレスの花はきれいだった。
 あどけなさの残る若い娘だった、十代の花が今より美しいと思っていたけれど、今日の花が今までで一番、きれいだった。
「神波の中で似てるんだろうな。俺もわかるぜ。誰も納得しなかったが、和泉と親父は似てるんだ」
 辻村煉慈の言葉に、咲は不満げに目を細めた。
「似てない。煉慈のパパは、ジョークにキレがない」
「冗談は元から言わない。似てるのはそこじゃなくて」
「僕もわかります。辻村と斉木は似てる」
「俺と? 斉木が?」
 目を丸くする辻村煉慈に、茅晃弘は頷いた。
「ああ」
「どこが? 俺は関西人じゃないぜ」
「うるさいな、と思うところ」
 茅晃弘は辻村煉慈に首を絞められた。
 それぞれが他人の相似について盛り上がっていた。誰に理解されなくとも、自分の人生の中で類似する存在。それは人柄ではなく、自分に与えたもの、自分から奪ったもの、出会いや関係の種類で分類されるのかもしれない。
(確かに、言われてみると似ていない)
 煙を吐き出しながら、槙原を観察する。あの頃の花は、息を呑む美少女だった。男女関係に関心の薄い俺でさえ、憧れめいたものがかすかに生まれたほど。
 童顔だが平凡な槙原の容姿に、その感動は生まれない。
 俺の視線に気づいて、槙原が顔を上げた。
「いつ頃から、似てると思ってたんですか?」
「わりと前から」
「じゃあ、神波さん、僕のこと結構好きじゃないですか」
 けろりと言ってのける。むっとしたが、そんなところが無性に似ていた。
「それとこれとは別だよ」
「絶対別じゃないですって。やっぱり温泉行きましょうよ。一人で貸し切りするの寂しいし、他に誰も付き合ってくれないし」
「それもこれも話が別だよ」
 図々しい提案を、煙を吹き付けて跳ねのける。むせかえる槙原をよそに、絞殺死体にならなかった茅晃弘が微笑んだ。
「僕もわかります」
「何が?」
「斉木は好きじゃないけど、辻村は嫌いじゃないから」
 辻村煉慈は茅晃弘と握手を交わした。
 うつむいていた瞠くんが、ぼんやりした声で呟く。
「俺もあるなあ、そういうの……」
 俺は興味を向けた。
 恥ずかしがりながら、瞠くんはおずおずと皆の前で話す。
「好きか嫌いかは、その、まったく別として、ハルたんと誠二は似てる気がするんだ」
「えっ」
 白峰春人はショックを受けて、俺の顔を見た。
 青ざめた瞠くんが言い訳する前に、にこやかな笑みを浮かべる。
「あ、いや、うん、でも、瞠の大事な人と同じように見えるなら嬉しいよ」
 行儀のいい子だ。
 二次会の時間が近づいて、俺たちは喫茶店を出た。団体行動が出来ない彼らの集合を待ってロビーで待機していると、瞠くんが近づいてきた。
 うっかり頬をつねったせいで、俺に向ける視線が親しさを増している。
「あのさ。誠二から見て、俺に似てる人っていないの?」
 先程の話題の続きだった。緊張と期待を浮かべる彼を眺めながら、俺は首を傾げる。
「……君に似てる人……? さすがにいないよ」
 嘘でも、お世辞でもない。この子ほど近い距離にいた人間は存在しなかった。
 これから先もいないだろう。
「そっか……」
 瞠くんは笑う頬を強ばらせた。彼は何かマイナスに変換しているようだった。人が素直に答えたのに、相変わらず卑屈な子だ。
 苛立ちと落胆を覚えながら、このまま放り出すのも哀れになって、俺は自分の半生をたどった。
 彼と同じくらい近い距離にいた人を、一人だけ見つける。
「母親かな」
 口にすると、ますます相似を覚えた。
 唯一、別れを予期せず共にいた。愛情を求められ、応えようとした。正気を失うほど俺を愛しながら、簡単に俺を捨てた。
 この時の俺は感傷的だったから、決して残酷な意図はなかった。失ったものの重み。それを包み込む、懐かしさと侘びしさ。軽んじられない愛しさを伝えたかったのだけど……。
「……あんた、本気で俺のこと嫌いなんだな……」
 愕然と目を見開いて、瞠くんは立ち尽くしていた。
 俺は困惑する。
「いや、似てるのはそこじゃなくて……」
 ぎゅっと唇を引き結んで、耳を塞ぐ代わりに、瞠くんは足早に去っていく。
 がっかりして、俺も苛立った。この相似は不用意に他人に話すべきではなかった。
 伝わるはずがないのだ。
 高級ホテルの優雅な景色。談笑する子供たち。彼らを見守る槙原。喫煙所で佇む賢太郎。
 友人の元に戻っていく、瞠くん。
 ここにある奇跡と嘆きは、俺にしか見えない。
 この目で眺める世界を、俺以外、誰も眺めたことはないのだから。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー -What A Friend We Have In Jesus-(未完)
2人の話にならなくて没になりました。

ブログ内検索